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「クトゥルフ神話TRPG」

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「インスマス襲撃・ダゴン秘密教団編」

[FARCE] 投稿日時:2017/07/02(日) 17:41

 2017年6月11日、FARCEでクトゥルフのGMしてきました。
 
201707021048_1.jpg


<探索者たち>
「サイド・スー」APP10
 
「ボブ・ダットマン」APP3
 黒人の海兵隊。

「ジャック・ニクソン」APP6
 南部生まれの白人海兵隊員

「アーサー・クランク」APP6
 イギリス系のギャング出身の海兵隊員

<あらすじ>
  今回のクトゥルフは、サプリメント「インスマスからの脱出」に収録のシナリオ「インスマス強襲・
ダゴン秘密教団編」です。

 シナリオ内容は、小説「インスマスを覆う影」で触れられる政府によるインスマスの不法行為の摘発を遊ぶというもの。
 全部で六つのミッションがあり、そのうち二つを遊ぶつもりでしたが、そこそこにボリュームもあり、「ダゴン秘密教団編」で4時間程度かかりました。
 銃での戦闘はほとんどやったことがないので、ちょっと甘めの判定してたので、死人は出ず。(受け判定でちょっと甘いことを認めたので、それがなければ、一名トラックに引かれてキャラロストしてた)

 「ダゴン秘密教団編」は六つのミッションのうち、一番難易度が低いと思うので、いずれ機会をみて、別のミッションにも探索者たちに挑んで欲しいと思います。(「密輸人の地下水道」がいいな。やっぱり深きものは水中戦だよ)

*ダゴン秘密教団ミッションは、前情報なしのシナリオ分岐があり、そちらに進むと宇宙的恐怖が増大します。ただ、分岐のフラグが微妙なところにあるので、スルーされた。(シナリオにも、こっちに誘導とは書いてあるけど、具体的な誘導は書いてない)

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「五つの神殿」クトゥルフ2015

[FARCE] 投稿日時:2017/06/10(土) 21:47

 2016年10月のFARCE定例会でのセッションです。「異界列車」と同日に行った続きのシナリオです。

<探索者たち>
「月森・終(つきもり・おわり」 36歳 宗教家(神主)
・参加セッション「大いなる遺産
 実はエイボンの書を所持している。
 
「佐々木小次郎」 20歳 男 プロ格闘家
・参加セッション「大いなる遺産
 実はナイ神父に会ったことがある。
 
「大塚・ヴァンデッタ・猫子」(19歳 女)
・参加セッション「クトゥルフ2010のGMしてきました
主なスキル:料理、レスリング、信用、聞き耳
 フランス人ハーフの料理人。実は超古代種族の知識を持っている。

「黒塚・由貴」(26歳 男)
・参加セッション「クトゥルフ2010のGMしてきました
主なスキル:精神分析、目星、芸術:絵画
 実は猫の七つの命を持っている。

「松村・富雄」(36歳 男)
 大学教授。実は死体蘇生液を持っている。 

「中川貴一」(28歳 男)
 考古学研究家。実は「門の創造」が可能な魔女の数式を持っている。

<NPC>
「阿住未魚子」
・登場セッション「大いなる遺産」

<あらすじ>
 トーチョ=トーチョ人に改造された異界列車に乗って、探索者たちがたどり着いたのは、五つのピラミッドからなる神殿のような建造物のある荒野だった。
 五つの神殿の入り口には、朽ちたテントがあり、その中には白骨化した遺体があった。残された日記を読むと、彼はアメリカのミスカトニック大学の探検隊で、何かの門を開き、この五つの神殿にたどり着いたと書かれていた。元の世界に戻るには、神殿の神に祈りをささげるしか方法はないらしい。
 白骨化した人物は、どの神に助けを求めるべきかわからず、とうとう、ここで息絶えたようだった。

 探索者が英語が読めないと、なんの情報も得られない、謎解き要素を全く無視した超ハードシナリオ。五つの神殿内部には、クトゥルフの門、ツアトグァの門、ハスターの門、ナイアルラトホテプの門、そしてハスターの門、そして、月渡りしてくる猫のバルコニーがありました。

 今回、探索者にはそれぞれ「実は○○」というインセイン風の秘密を持たせてました。ただ、思い付きでやったので、シナリオと連動するようなものにはなっておらず、そこが反省点になってます。次には活かせるようにしたいですが、今のところ、これならインセインやったほうがいいんじゃないの?って状態ですね。

 ちなみに、探索者はそれぞれの門を選び、以下の結果になりました。

「佐々木小次郎」「黒塚・由貴」「中川貴一」
 ナイアルラトホテプの門を選び、無難に帰還。

「松村・富雄」
 ツアトグアの門を選ぶ、神は生贄を欲していたので、自分を生贄に捧げ死体蘇生液で復活しようとしたが失敗し死亡。

「大塚・ヴァンデッタ・猫子」
 ハスターの門を選ぶ。ハスターの信者となり、ビヤーキーを与えられる。

「月森・終(つきもり・おわり」
 阿住未魚子とともに、ヨグソトース門を選ぶ。遠い宇宙の奇妙な宇宙人の身体に精神が送り込まれてしまう。長い時間をかけて、1920年代のアーカムにたどり着く。銀の鍵の秘密を解くことができれば、現代の日本に元の身体で戻れるかもしれない。

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「異界列車」クトゥルフ2015

[FARCE] 投稿日時:2016/12/06(火) 21:35

 2016年10月のFARCE定例会でのセッションです。

<シナリオ導入>
『探索者のみなさんは、今、特急列車に乗っています。その電車は夜刀浦という街に向かっています。
まもなく、終点の夜刀浦に到着です。ちょうど、車内アナウンスが流れてきました。
「いあ!いあ! くふあやく ぶるぐとむ あい!あい!」』

 今回のセッションは、過去のセッションでの探索者を再び使ってもらってます。(ほとんどの人はリビルドになっていますが。でも、同じ探索者を続けて使うのが、クトゥルフ神話TRPGの醍醐味でもあると思います)

<探索者たち>
「月森・終(つきもり・おわり」 36歳 宗教家(神主)
・参加セッション「大いなる遺産
 神主という立場から、地元の人間に顔の利くちょっとした名士。以前のセッションである大いなる遺産ではラストでSANチェックに失敗「全裸で絶叫」というレジェンドを打ち立てた。阿住屋敷組一号

「佐々木小次郎」 20歳 男 プロ格闘家
・参加セッション「大いなる遺産
 阿住屋敷組二号

「大塚・ヴァンデッタ・猫子」(19歳 女)
・参加セッション「クトゥルフ2010のGMしてきました
主なスキル:料理、レスリング、信用、聞き耳
フランス人ハーフの料理人

「黒塚・由貴」(26歳 男)
・参加セッション「クトゥルフ2010のGMしてきました
主なスキル:精神分析、目星、芸術:絵画
メンタルセラピスト 調査の都合上、芸術:絵画があったほうがいいですねぇと言ったものの、精神分析できるこの人がとってるのを完全に見逃してるのは、GMがバカだからである。 

「松村・富雄」(36歳 男)
 大学教授

「中川貴一」(28歳 男)
考古学研究家。

<NPC>
「阿住未魚子」
・登場セッション「大いなる遺産」


<あらすじ>
 不気味なアナウンスに、どうしていいかわからない探索者たち。
 一人の中年男性が、車掌に今のはなんなのか聞くために、最後尾にいるはずの車掌室に向かった。
 そして、悲鳴が上がった。
 悲鳴に動揺する探索者を尻目に、日本刀とショットガンを手に車掌室に向かう阿住屋敷組の二名。(月森終と佐々木小次郎)
 最後尾車両にいたのはムーンビースト、実のところ、探索者を前方車両に向かわせるために配置したので、なぜ、ここにいたのかは不明な存在。

 さてムーンビーストだけど、日本刀とショットガンには勝てなかったよ。

 銃刀を使えるレギュはアーカム1920、使えないレギュは日本と舞台をわけて差別化したほうがよいですね。なお、最後尾車両の運転席からでは、非常停止の操作を受け付けてくれないので、仕方なしに前方車両に向かうことに。
 ここで探索者同士の自己紹介。その他に、この車両には、ニコニコ笑う小柄な老人が一人いた。
 「じっとしていればいい」という老人を説得し(彼は足が悪いので探索者がおぶっていくことに)、前方車両へ進む。

 「本日は当列車をご利用頂き・・・」次の車両は、普通に田園を走っていて、何事もないように思えた。
 しかし、窓の外はよく見ると、とても高い光る天井の地底世界で、田園にいる家畜もよく見れば、どことなく人間を思わせる不快な生物であった。
 探索者は、誰にもわからなかったが、ここは穢れた地底世界クンヤンである。
 探索者が、リアルであまり電車を利用しないため注意を払われなかったが、実はこの車両に入って最初に見た電光案内版も、ずっと見ていれば「NEXTクンヤン」という表示がでるようになっていた。
注 今回は探索者が注意を払わなかったものは、意図的に説明しませんでした。あえて調べなければわからない方向で探索者の混乱を狙ってみました。

 探索者たちは次の車両に移動する。
 今度は、窓の外は真っ暗で、探索者が車両に入る寸前、小柄な人間が逃げ去る気配があった。あとを追おうとすると、「誰かいるの?」という声がして、トイレに隠れていた女性が現れる。
 彼女は阿住未魚子。大いなる遺産に登場した阿住家の生き残りである。彼女も、現在の状況を理解できず、過去の事件のトラウマからか、以後、月森と一緒に行動する。

 探索者はさらに前方車両へ。途中、海底神殿の見える海中が窓から見えたり、輝く星々が窓から見えた。どうやら、この列車。異空間を走っているらしい。
 そしてついに、探索者は先頭車両に到達する。だが、先頭車両の運転席には誰もおらず、列車の操作方法もわからない。
 その時、探索者たちと一緒に行動していた老人が口を開いた。

「だから言ったでしょう。じっとしていればいいと」

 老人が言う。彼はトーチョトーチョ人。アラオザルへの帰還のため、人間の乗り物をちょっと改造したという。
 探索者たちは見ていて面白かったので、アラオザルへの帰還後、ペットとして飼っても良いという。
 ペットになることを断る探索者たち、ムーンビーストにだって勝てる探索者が、トーチョトーチョ人のじじいに負けるわけもなく、探索者は戦闘に勝利する。
 もっとも、魔改造された列車の操作方法など、誰にもわかるはずもなく、探索者たちを乗せた列車は、未知の荒野に不時着するのだった。(シナリオ分岐、五つの神殿に続く)

『シナリオ裏話』
 最初にクトゥルフ2015のシナリオグラムでシナリオを作ろうとしたところ、未知の領域の探索という結果になった挙げ句、現代日本の探索者がそこに行く理由が思い付かなくて、逆に未知の領域に行く過程をシナリオにしてみました。
 万が一、鉄道オタク(に技能を振った)探索者がいた場合は、魔改造列車の操作方法がわかってしまい、帰還するエンドもあり得ました。
 シナリオ上に、いわゆるハッピーエンドに至る道筋はなく、宇宙的恐怖の前には人間のすることなとさして意味はないという視点でシナリオを作成しており、こういうシナリオは批判が多いかもしれません。

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猫たちのクトゥルフ「背の低い地下道」

投稿日時:2016/05/29(日) 16:00

 僕の名前はクロシロ。全身黒い毛におおわれているけど、鼻と口、それと四本の足の先とお腹が白い。人間たちの間では、そのまんま「黒白」って呼ばれる模様。
 ほぼ黒い毛に覆われているから、略すなら「クロ」なんだけど、語感の問題なのか呼びやすいからか、僕の飼い主は「シロ」って呼ぶ。紛らわしい。

201605291607_1.jpg
 
 
 さて、とある日の事だ。僕は、近所のネコ集会で顔なじみの茶トラに誘われて、とある穴倉に潜ることになった。人間たちの間では「防空壕」って呼ばれている。
 今年の夏も熱くなりそうなので、よい避暑地を探そうと茶トラに誘われたのだ。僕は飼い猫だけど、家のクーラーがいつでもついているとは限らない。だから、僕は茶トラの誘いに乗ったのだ。
 茶トラの発見した防空壕は、人間が地下に隠れるために作ったものだから、内部は申し分なく冷えていた。しかし、茶トラは夏になればさらに熱くなるだろうから、もっと奥も調べようと言って、さらに奥に進んでいった。

 どれほど深く潜っただろうか、茶トラがさらに奥に続く小さな入り口を見つけた。そこは不自然な入り口で、どうやら防空壕の壁の一部が崩れ、別の穴と繋がってしまったものらしい。茶トラは、迷うことなくその新しい地下道に入っていった。
 猫というのは好奇心が高いのだ。僕もそれに続いた。
 そこは、奇妙な通路で天井がやけに低かった。僕ら猫にとってはちょうど良いぐらいだが、人間が通るには厳しいだろう。だが、天然の洞窟ではなく、明らかに何者かによって掘られた通路だった。今の人類は非常に大きいが、昔は僕ら並みに背が小さかったのだろうか。そんなことを考えていると、やがて少し広い場所に出た。
相変わらず、天井は低いが横幅は今までいた場所よりはるかに広い。それにすべてが加工された石でできていた。さらには、この地下空間には多くの細長い石棺が並べられていた。この地下空間は広すぎて落ち着かないが、この石棺のなかに入ることができるなら、さぞや落ち着くことができるだろう。
 そう思って、石棺のひとつに入ろうとしたが、そこを茶トラに声を掛けられた。茶トラは、すごいものを見つけたぞと僕を呼んだ。
 茶トラは、さらに奥へと続く細い通路を見つけていた。

 その通路には、両側にレリーフの刻まれた歴史の間だった。それも、人間以前の未知の生物のものだ。
 その生物は遥かな昔、恐竜の栄えていた時代の生物で、その歴史は手に槍を持ち、狩りをするところから始まっていた。その生物は肉食だったが、農耕によって食料を大量生産することで彼らの食用となる家畜を育てるようになり、順調に文明を発展させていった。やがて、彼らの中に指導者が現れる。手に書物のようなものとシンボルのようなものを携えていることから、おそらくは宗教的な指導者なのだろう。その指導者の元にルールが定められ、生物は国家を形成していった。
 続くレリーフは、彼らの繁栄を刻んでいた。彼らは星々を観測し、自分たちが銀河のどこにある惑星の上に居るのかを把握し、かなり正確な宇宙の地図を作っていた。また、彼は魔法と思えるような高度な科学も発展させていた。彼らの支配する帝国は地球全土に及んだ。
 しかし、彼らの帝国は大いに栄えたが、そのころから堕落が社会にまん延し始めた。彼らは人間によく似た家畜を丸のみすると、そのまま惰眠を貪るものが増えてきた様子がレリーフには描かれていた。それは、彼らの宗教的指導者が作ったルールに反するものだった。そして、あろうことか本来、そのような社会を戒めるべき宗教的指導者たち自身が、大衆と同じく食後の惰眠にふけっていた。その場面の端には、空に輝く凶星が描かれていた。
凶星が大地に激突し、世界に大破壊が訪れる。世界各地に凶星の破片が火の玉となって降り注ぎ、多くの生命を死滅させた。もちろん、彼らの帝国も滅びの道を進むことになった。

 生物の生き残りは、それでも再生のために力を合わせようとした。しかし、堕落してしまった彼らはもはやかつての栄光を取り戻すことができなかった。
 何度もかつての栄光を取り戻す試みが行われたが、彼らの退化は誰にも止められなかった。宗教的指導者たちの行う試みは、時代とともに科学というよりは魔術、いや迷信だらけのまじないの類、生贄を捧げてかつての力を取り戻そうとするような野蛮な儀式になり下がった。
 また、彼ら自身の退化も著しく、かつて二足歩行をしていた生物は、手を地面につける四足の生き物になり、あまつさえその手足すら退化し、彼らの歴史の最後のページ、もはやレリーフではなく壁画に描かれていたのは、醜く地べたを這いずり回るヘビそのものの姿だった。

「こりゃまたすごいものを見つけたな」
 茶トラがそう言った。
 確かにすごい。だが、僕はそろそろだいぶ深いところまで潜っていることに、ほのかに不安を覚えていた。
「もう帰ろうよ」
「待て、まだ先が続いている」
 茶トラの言う通り、まだ通路は続いていた。僕は正直、もう帰りたかった。しかし、ここで引き返せば、茶トラの口から僕は臆病者だと、ネコ集会で吹聴されることになる。
 結局、僕は茶トラについて、地下道をさらに進むことになった。

 そこから先は実に単調な道だった。あいかわらず天井は低く、また、さきほどまでの整った地下道と近い、ここはただ地下を掘りぬいただけのような粗雑なものだった。
 これが本当に、あの素晴らしいレリーフを作り上げた生物のものだとしたら、恐ろしいほどに退化してしまったのだということをうかがわせる。あのレリーフを作った生物の末裔は、自分たちの祖先がここを作ったのだということすら忘れ、下等生物になり下がったのだろうか。
 そんなことを考えていると、不意に先を行く茶トラが足を止め、僕は頭をぶつけてしまった。
「急に止まらないでよ」
 僕は茶トラに抗議した。
 しかし、その茶トラはというと、背を低くし警戒態勢を取りながら、じっと通路の前方を見つけていた。その前方から、何かしゅうしゅうという息遣いが聞こえてくる。
 通路の前方には、無数の目があった。それはヘビだった。あのレリーフを描いた生物の末裔、旧支配者であるヘビたちが、この地下道には潜んでいたのだ。僕は、車の往来の激しい道路の真ん中で硬直してしまったかのように、動けなくなってしまった。
「逃げろ!」
 茶トラが叫んだ。
 その声を聞いたとたんに、僕の身体の硬直が解け、僕と茶トラは一目散に出口を目指して駆けだした。
 背後からは、通路を埋め尽くす無数のヘビたちが僕らを追いかけてくる。ものすごいスピードだった。獲物を捕らえようとする奴らの執念はすさまじく、僕は何度も尻尾を噛みつかれそうになった。とにかく夢中で走り続けた。

 そして、僕らはなんとか地上に戻ることができた。明るい太陽の元にまで彼らは追ってくることはなく、僕らは命拾いした。
「こわかったね」
 僕は茶トラにそう言った。
「にゃーお」
 茶トラの返事を聞き、僕はもう一度、恐怖した。
 なんてことだ。茶トラは言葉を失ってしまった。きっとあまりにひどい恐怖が、茶トラの理性を破壊してしまったのだろう。
 その後、茶トラが言葉を取り戻すことはなく、茶トラは普通の猫になってしまった。

 仲間によると、僕らの恐怖体験のあとに、何匹かが防空壕の中に危険はないか調べに入ったそうだった。ところが奇妙なことに、僕らの見つけたヘビの地下道は見つからなかったそうだ。
 そんなことはないと僕は反論したが、なら案内してくれと言われてそれ以上の反論ができなくなった。その地下道に潜るのだけは嫌だ。今度こそ、獲物を取り逃がしたヘビたちに捕まってしまうだろう。
 言葉を失った茶トラを少し羨ましく思う。茶トラは、ヘビを見るたびに怯えなくていいのだから。
 僕はヘビを見るだけで怖い。最近ではヘビを見るたびに、飼い主の元に身を寄せている。
 僕は確かに見たんだ。この街の地下に、かつて繁栄したヘビ人間の祭壇があることを。その末裔は今も地下深くに潜んでいて、再び地上の支配者になるのを虎視眈々と狙っているんだ。

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猫たちのクトゥルフ「ネコゾンビ」序文

投稿日時:2016/05/06(金) 21:43

 ニャー
 
 カリカリカリカリ
 
 ニャー
 
 カリカリカリカリ
 
「外に出たいの? 遠くにいっちゃダメだよ」
 
 飼い主にドアを開けてもらい、僕は家の外に出た。今日はネコ集会の日だから、どうしても出かけたかったんだ。
 都会のほうでは、飼い猫は家の外に出してもらえないらしいけど、うちのほうは田舎なので、割と自由に出してもらえる。
 僕の名前はシロ。二歳の雄の雑種。小さいころに今の飼い主に拾われた。
 
 ニャー
 ニャー
 ニャー
 
 ネコ集会の広場には、すでにこの近所の猫がたくさん集まっていた。
 気の短い人間がたまたま通りかかり「うるさい!」と叫ぶと、一瞬だけ静かになり、みなでその人間を見つめたが、人間がどこかに去ると、またニャァニャァと鳴き始めた。
 
 僕らネコは、かつて地上の支配者の一員だった。
 古代エジプトのブパスティス信仰に、その痕跡が残されている。古代エジプトにおいて神と崇められた一神が僕らの祖先なのだ。
  いや、僕らだけではない。かつてヘビ達は、二足歩行するヘビ人間として、たくさんの都市を築き科学と魔術の探求者だったし、イルカは深きものと呼ばれる海の支配者だった。
 
 いまや、人間の遺跡の片隅にその痕跡をとどめる二過ぎない深淵の知識に触れた人間達は、かつての僕らを畏怖を込めて『旧支配者』と呼んでいる。
 
 しかし、僕らはひどく退化してしまった。
 ヘビ人間や深きものの末裔は、今でもかつての栄光を取り戻そうと目論んでいるようだが、僕らが支配者の地位に返り咲くことはないだろう。
 
 ちょっと前の僕は、よくこのような話をこのネコ集会で話したが、お前は変わっているという感想しか持たれず、最近は口をつぐんでいる。
 大抵のネコにとって重要なのは、よそ者や外敵の驚異や、どこに居心地のいい日溜まりがあるかということだけだ。
 僕も飼い主の変わった趣味がなければ、ただの猫に過ぎなかったろう。
 
 だが、この日、ネコ集会で持ち上がったのは「ネコゾンビ」というひどくショッキングな話だった。
 死んだはずの猫が蘇り、この近所を徘徊していたのだという。
 
 ネコゾンビとはなんなのか、今回のネコ集会はその話で持ちきりだった。
 
 そして、この事件がきっかけで、僕は旧支配者に関わる事になるのだった。
 

 猫の視点で描く猫クトゥルフ「Cathulhu」のオリジナル話の序文です。勢いで書いた。
 
*人間との混血で有名な「深きもの」ことディープワンですが、クトゥルー13「深きものども」(青心社)には、イルカとの混血種が登場します。

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